1997年、IBMのエンジニアチームは、チェスの第一人者ガルリ・カスパロフをしのぐ「ディープ・ブルー」というコンピューターを開発しました。ディープ・ブルーは、32個の処理エンジンを持っていて、1秒間に2億手を先読みできるという優れもので、私たちの想像の域を超えています。名人であっても1秒間に2億通りの状況はもちろん、たった2つに1つを選ぶことさえできないでしょう。しかし、時計の秒針がナノ秒(10億分の1秒)を過ぎる前に、世の万事に関する先読みをされる全知なる方にとっては、2億通りを計算し選択するぐらいは朝飯前でしょう。人生を将棋のゲームとするなら、私たちは「歩」であって、神さまは将棋の名人です。私たちには次の手すらわかりませんが、神さまはすでに数10億手も先読みしておられます。そのため、自分の考えを捨てて、名人である神さまに信頼し、謙遜に従うことが百戦百勝への道なのです。
聖書に登場する偉人たちも、信仰によって歩むことによって、希望を見出し、勇気を得ることができました。私たちの肉の目は、現実を見ることは得意とするところでありますが、もっと働かせなければならないことは、霊の目(神の視点)で現実を見るということです。神さまがナノ秒の内に、私たちの人生の数10億手も先読みされているのなら、そちらにお任せした方が、得策だと思います。神さまに「お任せする」「委ねる」とは、どういうことなのでしょうか? それは、所有権を譲り渡し自分のものだと決めていた自分の体、地位、財産、時間、能力など、権利の支配権を放棄するということです。神さまにすべてを委ねたとき、自分が所有していると思っていたものは、本当は神さまのものであって、ただ私たちに貸し与えてくださっているのだということに気付き始めます。ただ、私たちは何もしなくていいのではありません。神さまから貸し与えられているものは、私たちがこの地上において、責任をもって管理するという任務が与えられているのです。神さまにお任せする人生は安心です。なぜなら神さまが全責任を持ってくださるからです。
「あなたがたは、それぞれ賜物をいただいているのだから、神のさまざまな恵みの良き管理人として、それをお互のために役立てるべきである。」(Ⅰペテロ4章10節)