アップル社の設立者であるスティーブ・ジョブズ氏は、世界でも一番ビジネスに成功したビジネスマンの一人であると言っても過言ではないでしょう。そして世界で最も金持ちになれた人でもあるでしょう。彼が2011年に膵臓癌で亡くなるまでの名言は数多く残されていますが、最後に残したと言われる言葉を紹介します。
 「私は、ビジネスの世界で、成功の頂点に君臨した。他の人の目には、私の人生は、成功の典型的な縮図に見えるだろう。しかし、仕事面をのぞくと、喜びが少ない人生だった。病気でベッドに寝ていると、人生が走馬灯のように思い出される。私がずっとプライドを持っていた有名になることや富は、迫る死を目の前にして色あせ、何も意味をなさなくなっている。生命維持装置のグリーンのライトが点滅するのを見つめ、機械的な音が耳に聞こえてくる。神の息を感じる。死がだんだんと近づいている。今やっと分かったことがある。人生とは富に関係のない他のことを追い求めたほうが良い。終わりを知らない富の追求は、人を歪ませてしまう。私のようにね。神は、誰もの心の中に、愛を感じさせるための感覚というものを与えてくださった。あなたの家族のために愛情を大切にしてください。あなたのパートナーのために。あなたの友人のために」・・・彼が様々な場所で講演する際、自分の知恵や経験値から、ビジネスで成功するための極意を数多く話していましたが、死の壁を前にして、結局彼が追い求めてきたものは、間違いだったと言ったのです。
 アップル社が業績を伸ばせた一因は、小売部門を牽引していたロン・ジョンソン氏がいたからだと言われています。彼は教会の日曜学校の教師でもありました。彼のモットーは、「隣人を自分のように愛しなさい」(マルコ12:31)という聖書の言葉だそうです。ジョブズ氏が癌の告知を受けた時、休暇中の彼にロン氏は、一つだけこうアドバイスしたそうです。「スティーブ、君ほど頭のいい人間は、永遠について時間をかけて考えるべきだ。永遠は存在するのか否か、永遠とはどういうものかということを。分かり切ったことだ、と思わないことだ」と。このメッセージをジョブズ氏がどのように受け止めたかはわかりませんが、影響を受けたことは間違いないでしょう。自分の知恵知識はこの世だけのものですが、神の知恵は永遠に関係するものです。神の知恵をいただきたいですね。